多肥上町の平屋。
壁の充填断熱と気密シート張りが進行中です。
まずは、断熱材を入れる前に、気密処理や貫通部の処理を行います。
下の写真の時期です。
壁の耐力面材(地震に対して強度を増す為)と柱の際に沿って、ぐるりと4方に発泡ウレタンで気密処理。
壁を貫通するエアコンのダクト穴周りも、同様に処理しておかないといけません。
(ちなみに、ハウプロではエアコンを付ける付けない関係なく、全ての部屋にエアコンダクト穴を工事します。理由は、将来、穴をあけるとせっかくの気密シートが破れてしまうから。)
耐震の為の金物は、熱を通しやすく熱橋(ヒートブリッジ)となってしまうので、気密処理も兼ねて、ウレタン断熱材で被覆します。
電気配線の貫通部分も同様に!
これらの処理が終わって、ようやく断熱材を入れることができます。
弊社が使うのは、フィルムで包まれていない裸グラスウール。
一般的によく使われているフィルム付き(袋入り)のグラスウールは、壁の奥まで入れることが難しいので弊社では使いません。
一方、裸グラスウールだと、奥まで断熱欠損を抑えて入れることができます。
ただし、施工精度を高めるためには、丁寧で正確な工事が求められるので、施工をする大工さんや職人さんが重要です。
事前に処理したダクト穴周りやコンセント周りも、しっかりと入れています。
ちなみに、コンセントも気密型のボックス内に納めます。
あと、弊社の細かなこだわりをいうと、柱と間柱の幅を断熱材の幅よりも少し小さくしています。
その理由は、木造住宅というのは、最初の1,2年は木が乾燥して収縮します。その為、始めはピチピチに入っていても、乾燥収縮ですき間が開いてしまう(断熱材が入っていない断熱欠損)ことを防ぐためです。
こうしておくことで、もし乾燥収縮しても断熱材が追従して、断熱欠損を抑えることができます。
ちょっと余談になりますが、断熱性の指標となるUa値。
今はその数値ばかりがアピールされているように思いますが、Ua値はあくまでも計算による数値です。使う断熱材や窓、間取り等を計算ソフトに入力すれば分かります。
でもそれは、100%きちんと工事が出来ての数値です。
良い素材を使っても、実際の施工精度に問題があると意味がありません。
(例えば、同じ高級食材を使っても、一流シェフが作った料理と私が作った料理では、全く味が違いますよね)
さて、話を戻しますが、断熱材が全て入ったら、気密シートを張っていきます。
透湿性を兼ね備えた調湿気密シートを使っています。
調湿気密シートについて
ここでの細かな対策としては、気密性能の経年劣化を抑える為の処理です。
先ほどの木材の乾燥収縮や生活での水蒸気の発生、基礎コンクリートからの水蒸気の放出などよって、気密シートや気密テープに負荷がかかり、気密性能も最初の数年で下がることが分かっています。
それをなるべく抑えたいので、弊社では先張り気密シートを行っています。
どういうことかというと、窓の4隅の角部分や、梁と桁の木材の接合部分など凹凸の部分って、実は気密シートやテープが張りにくいんです。
イメージしてもらうと分かるかと思いますが、角に合わせてシートを切って、凹凸に合わせてテープを貼るのって大変そうでしょ?
テープなんかもちょっと無理やり貼ったりしちゃうかもしれないでしょ??
その為、そんな部分には上記の写真のように、先に気密シートを張っておきます。
そうすると、断熱材を入れた後は、切りやすくて張りやすい直線ラインに合わせて、シートを張り重ねることができます。
こんな感じです ↓↓
窓の周りも同様に。
そして、最後に気密テープも無理な負担なく貼ることができます。
実際に、この先張り気密シートを教えて頂いた東北の温熱環境専門の設計事務所さんに聞くと、住んで2年後のお家で気密測定をしたところ、C値が0.05しか下がっていなかったそうです。
正直、手間はかかりますが、ここは大切に考えています。
★最後に、施主様のご厚意で、こちらの現場で構造見学会を開催します。
今回書いた断熱・気密の重要なポイントや耐久性を高めるための処理なども実際にご覧いただけます。